ただの絵じゃない!象徴から読み解くタロットの真意

タロットの絵が“語りかけてくる”理由
タロットカードの絵って、どこか不思議よね。
とっても意味深で、中にはちょっと怖く感じる絵もあるじゃない?
実はその“意味ありげ”な感じこそが、寓意画(ぐういが)= allegory(アレゴリー)の力なの。
今回は、この「寓意画とはなにか?」というテーマを、マルセイユタロットの絵柄をもとに、わかりやすく解説していくわね。
寓意(アレゴリー)とは?
寓意とは、一つの絵や物語に、抽象的な思想や真理、道徳的なメッセージを象徴として込める表現手法のこと。
簡単にいえば、「目に見える絵の中に、目に見えない意味が隠されている」状態。
たとえば──
《正義(Justice)》というカードには、片手に剣、もう一方に天秤を持つ女性が描かれているけれど、これは単なる“剣と秤を持った人”じゃない。
剣は「真実を切り分ける知性」、天秤は「物事のバランスや公平性」を表し、全体として「正しさ・判断・真理の象徴」という深い意味が込められているの。

このように、タロットカードに描かれたものは飾りではなく、“象徴”として機能している。
これこそが、寓意画と呼ばれるゆえんなのよ。
タロットカードは「寓意画」の集まり
マルセイユタロットは、大アルカナ22枚・小アルカナ56枚、合計78枚で構成されているけれど、その一枚一枚が寓意を込めた絵画作品のようなもの。
- 人物の仕草
- 手にしている道具
- 背景に描かれた風景
- 配色や構図
…すべてが「意味を伝えるためのしかけ」になっているの。
たとえば──
《奇術師(The Magician)》のテーブルに並ぶ道具たちは、「その人が人生で手にしてきた資質や可能性」を象徴している寓意画。
若い奇術師は、まだそれをどう使うかも定まっていないけれど、そこには“無限のスタートライン”が描かれているのよ。
つまりこのカードは、“持っているものをどう活かすかは自分次第”ってことを教えてくれているの。

《神の家(The Tower)》に描かれた崩れゆく塔は、「これまで信じていた世界の“あたりまえ”が突然崩れる」という寓意を表しているの。
雷に打たれて吹き飛ぶ人々、飛び散る王冠や石…
それはすべて、揺るぎないと思っていた価値観が壊れる瞬間を象徴しているのよ。
つまりこのカードは、“避けられない衝撃によって、気づかされる真実”を描いた一枚なの。

《死(Death)》の骸骨と大鎌は、「もう役目を終えたものを淡々と刈り取る」存在として描かれた寓意画。
バラバラになった手足や頭は、立場や感情に関係なく、すべてのものに“終わりの時”が訪れるってことを示してるの。
つまりこのカードは、“終わるべきものを見極め、容赦なく切り落とす”という自然の秩序を表現した一枚なのよ。

スート(小アルカナ)にも寓意が宿っている
大アルカナのように人物が描かれていなくても、小アルカナに並ぶ「ワンド(棒)」「ソード(剣)」「カップ(杯)」「コイン(金貨)」──
これらは単なる道具じゃなく、人生の中のエネルギーや感情、現実的な側面を象徴する寓意なの。
たとえば、
- ソード(剣)が多いときは、知性、スピード、そして“削ぎ落とし”の潔さを感じさせるし、
- カップ(杯)が多ければ、感情が溢れている、心が揺れている状況だとすぐにわかる。
- ワンド(棒)は情熱や行動力、
- コイン(金貨)は現実や安定を象徴していて、
どれも見た瞬間に“なんとなく意味が伝わってくる”のよね。
つまり、これらのスートはタロットを読む人たちの間で共有された「共通言語」のようなものなの。
寓意画があるから、タロットは“読める”
もしタロットカードがただの風景画や人物画だったら、私たちはそこから意味を引き出すことなんてできないわ。
でも、寓意画だからこそ、
- 「この剣で、何を断ち切るべきなのか」
- 「この道具たちは、どんな可能性を示しているのか」
- 「この塔は、何を崩し、何を目覚めさせようとしているのか」
……そんなふうに、絵が語る物語を“読む”ことができるのよ。
そしてその物語は、人によって全部違う。
それがタロットリーディングの奥深さであり、寓意画としての魅力でもあるの。
まとめ:寓意画は「見えない真理を映す鏡」
寓意画とは、目に見える世界を使って、目に見えない世界(真理・心理・哲学)を描く技法。
マルセイユタロットはまさにその集大成なのよ。
だから、タロットを読むときには、「何が描かれているか?」ではなく、その絵が「何を語ろうとしているのか」に目を向けてみて。
きっと、あなたに必要な気づきが、そこにあるはずだから。